第3章 燎原之火 【煉獄杏寿郎】1
私はコンビニで立ち読みをしながら煉獄先生の黒い車が来てくれるのを待っていた。
私の後をついて来た男の人も立ち読みをしている。本を替える振りをしながら少しずつ近づいてくる。不自然じゃない様に私も少しずつ横に逃げる。・・・怖い。
ふわっと石鹸のいい香りがした、横を見ると自分の顔のすぐそばに煉獄先生の顔があった。先生は私の持っている雑誌を見る振りをしながら小声で「恋人の振りをするから合わせてくれ。」と囁いた後、にこっと笑って、私の顔を見た。
「待たせたな。さぁ行こう。」
「君は何を飲む?」
と言いながら私の肩に腕を回して傍から離れないようにし、カゴの中にお菓子や飲み物を入れていく。
会計を済ますと外に出て、コンビニの目の前に停めてある車の助手席のドアを開けてくれた。先生の車もやっぱり石鹸のいい香りがした。
先生も運転席に乗り込むと、また小さな声で
「隣にいた奴だろう?ちょっと動かないで前を見ていてくれ。」
と言い、先生が運転席から身を乗り出すと、私の目の前に大きな赤い瞳が近づいてきた。
ほんのすぐそばで止まると、また小さな声で「もう大丈夫だぞ」と笑い、運転席に戻った。
「外からはキスをしている様に見えたか?」
と言いながら車を出す。