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桃紅柳緑【鬼滅の刃】【R18短編集】  

第3章 燎原之火 【煉獄杏寿郎】1


宇髄は通路に出て歩き始めると直ぐに口を開く。

「煉獄、・・・お前、紫天城と何かあった?全然喋んねーじゃん。・・・勝手に荷物運ぶの決めて怒ってる?」

いつもと様子が違う俺を心配してくれている。
俺はどこから話そうかと少し考えてから答える。

「いや、怒ってない。」
「・・・宇髄、ちょっと聞いてくれ。」
「なんだよ?」

「・・・その・・。黒板が・・・綺麗だったんだ。」
「は?脈絡ねーな。」

もう少し聞け、と俺は歩きながら続ける。

「俺のクラスの俺の授業の時だけ、黒板に何の汚れもなくいつも綺麗で、チョークまで新しいものが揃えて置いてあるんだ。」
「最初はそんなことにすら気が付かなかった。気付いた後も、日直がやってくれていると思ってたんだ。」

宇髄は俺の顔を時折見ながら、静かに聞いてくれている。

「つい、2週間ほど前の事だ。放課後、教室で日誌の整理をしていたら、紫天城が友達と残っていた。特に気にも留めずに俺は作業をしていたんだが、紫天城だけが教室に残り、濡らした雑巾で黒板を掃除し始めたんだ。」
「『日直か、ご苦労様。』と声を掛けると、『違う。』と言い、『明日の1限が日本史だから』と。俺はこれまでの事が繋がって、『いつも紫天城が黒板を綺麗にしてくれていたのか、ありがとう。』と言った。」

「そして、俺は何も考えずに尋ねてしまったんだ。『どうして俺の授業の時だけそうするんだ?』と、そうしたら、紫天城はちょっと何かを考えた後、動きを止めて俺に向き直った。」


そこまで言うと、俺は立ち止まり宇髄を見た。つられて宇髄も立ち止まってこちらを見る。

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