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桃紅柳緑【鬼滅の刃】【R18短編集】  

第22章 ※炎虎 【煉獄杏寿郎】5 完


数時間後
「あや、煉獄は容疑を否認している。それにもうずっとお前を出せと言っているぞ。」
「・・・後藤さん、私一応被害者ですが、話をしに行ってもいいですか?」
「行きたいんだろう?」
「・・・行きたいです。」
「キスとか始めるなよ。」
「・・・しませんよ。」


私が部屋に入ると杏寿郎は大きく溜息をついて「やっと来たか」と私を見た。そして清々しい笑顔になった。
「・・・・完敗だ。大したもんだ。まんまと引っかかってしまった。」
私は杏寿郎の前に座って、手錠から解放された手にすこしだけ触れる。
「・・・・杏寿郎さん、騙してしまってごめんなさい。」
「いいや。天晴だと思ってる。あや、全て嘘だったのか?」
「いいえ、あえて言わないことはあったけど、私があなたについた嘘は3つだけ。」
「ほう。」
「私の苗字・私の職業・私の家族の死因・・・本当にそれだけ。」
「俺を愛しているというのは?」
「・・・勿論本当。愛してる。自分でもびっくりする位・・・愛してしまった。当然・・今も。」
「刑事さんにそう言って貰えて・・・有難いことだ。ご家族の死因はどうして嘘を?」
「父は麻薬捜査官だった。クスリの出所に近付きすぎてしまって鬼舞辻組に殺された。たまたま家にいた母も、弟も。10年前に。」
「あぁ。確かに10年程前にそういう殺人事件のニュースがあったな。あの時の生き残った娘というのが君か。」
「そう。結構大きな事件だったから、言うと素性がバレちゃうでしょ。ねぇ杏寿郎さんはどうしてヤクザに?あなたなら他の仕事も選べたでしょう?」
「・・・・俺の父も、鬼舞辻組に事故死に見せかけられて殺された。公な情報ではないがな。・・・やはり君と俺はよく似ている。」
私たちは向かい合ってお互い微笑みながら話をした。さっきのレストランにいる様に。少しだけ指先を触れ合わせながら。後藤の言う様にキスを始めそうな雰囲気で。
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