第22章 ※炎虎 【煉獄杏寿郎】5 完
まぁ、そうなるだろう。本来なら彼の心にここまで近付いてはいけなかったのだ。彼らを虚仮にしたつもりは無いが、結果そう捉えられても仕方が無い。あんなに大事にしてくれた私を自分の手で、と考えるに至った杏寿郎の心を思うと胸が押し潰されそうだ。
・・・私は今日殺されるわけにはいかない。自分の為にも、杏寿郎の為にも。
今日の作戦の最終確認を後藤としていたらスマホが鳴った。杏寿郎からだ。スマホの画面を後藤に見せてからスピーカーにして通話を押す。
盗聴していたので分かっているが、昼食を食べに行こうという内容だった。杏寿郎の声はいつもよりも小さかった。私は勿論「行きたい。」と返す。
家に行くと撃たれそうなので、家には行かない。そして、家に拳銃があるのだろうから、おそらくランチには武器は持って来ないだろう。
頼むから武器は持たずに来て欲しい。