第3章 燎原之火 【煉獄杏寿郎】1
人懐こい笑顔でふわりと頭を下げる。
「すれ違う人達がモデルがいるって騒いでて、見たら先生たちだった。」
「お買い物ですか?」と首を傾げて問う。
「いんや。卒業生の個展を見に行ってた。・・・お前、すげぇ荷物だな。」
「はい。引っ越ししたんです。要るもの買ってたら両手の限界を超えてました。」
また、ふわりふわりと笑いながら宇髄と話し、ふと俺の方を見る。
「煉獄せんせい。スーツとジャージ以外の服、初めて見た。何着ても恰好いいね。」
「さすがの俺も、休日にスーツは着ないからな。」
「いいもの見ちゃった。じゃあ。また、先生達。」
紫天城がまたふわりと笑って、立ち去ろうとしたのを宇髄が止める。
「紫天城。荷物持ってやるよ。家どこだ?」
「え?いいよいいよ。忙しい先生達の貴重なお休みでしょ?悪いよ。」
「子どもがエンリョすんなって。家庭訪問だ。何かあった時には担任の煉獄先生が行かなきゃなんねーだろ?」
宇髄がちらりとこちらを見て「な?」と目で合図を送る。
「・・・あぁ。ほかにも買うものがあれば、ついでに買うと良い。力はあるからな、いくらでも持とう。」
「・・・ごめんなさい。」
眉尻を下げ、申し訳なさそうな顔で紫天城が言う。
「担任の先生達が好きでやってんだから謝るなよ。ありがとうって言っときゃいいんだよ。」
「宇髄先生、煉獄先生。ありがとうございます。」