第20章 ※炎虎 【煉獄杏寿郎】3
急にトロトロと眠気が襲ってきた。瞼が重い。
意識を手放す前に少しだけ目を開けると杏寿郎がベッドサイドにあった水を飲んでいて、目が合うと微笑んだ。「君も飲むと良い」と水を差しだされたけど、受け取る力も無かった。私は微笑みながら微かに首を振る。
「あや、眠いか?寝ていいぞ。」と杏寿郎に優しく頭を撫でられる。
私は小さく微笑むと「いっしょに。」と手を伸ばす。
杏寿郎はその手を取って「もちろんだ。」と額にキスを一つ落とすと電気を消して私の横にそっと入り、腕枕をしてくれた。私は甘い香りを嗅ぎながら瞼を閉じた。
朝方、私は目を覚ます。鼻先にあるのは杏寿郎の胸だった。鍛えられて筋肉の付いた胸。その胸の半分を覆う刺青。そういえば杏寿郎はどうしてヤクザになったんだろう。と、まだはっきりしない頭で考えた。彼の信念を、彼の守りたいものを、彼をもっと知りたい。
少し顔を上げて杏寿郎の顔を見る。優しく穏やかで、子供の様な寝顔だった。「可愛い」と呟いて、愛おしさで胸がいっぱいになっていることに気づく。思っていた以上に杏寿郎の事を好きになっていたことに驚いた。そしてお互い裸で寝ているのを見て、昨日のことを思い出し、頬が赤く染まる。