第20章 ※炎虎 【煉獄杏寿郎】3
私は何も考えられなくなっていた。
何度目の絶頂かはもう分からない。何をされているのか良く分からないが、杏寿郎の指が、舌が、腰が、動く度に体のあちこちが跳ね、程なく弛緩する。
そしてまた跳ねる。体の表面だったり・・、奥の方だったり・・。もう耳元で漏れ聞こえる荒い吐息や、「あや」と呼ぶ声にさえ体が反応する。
自分の口からこんなに甘い喜悦の声が絶え間なく出るのかと感心した。だらしなく開いた口は閉じる暇がなく、声が掠れ、時折ごくりと唾を飲み込むが、すぐにまた顎がゆっくりと上がり、声と唇を震わせながら嬌声が漏れる。
私は焦点の合いにくくなった瞳で、覆いかぶさっている杏寿郎を見る。目が合う。赤い瞳の虎が笑う。ぞくりとする程甘い声で「あや」と囁く。顔を近づけてきて口の中に舌を入れられ、奥を探ってくる。上顎を舌先で擦られると腰と背中が浮いてきてのけ反って、また喘ぎ声が漏れる。
杏寿郎の身体から滲んだ汗が肩の炎を伝って私の胸に落ちる。杏寿郎は汗の香りも甘い。
顔の横にある杏寿郎の腕の熱と、体の奥を暴く杏寿郎の熱で汗ばんだ自分の首に髪が張り付く。
もう一番奥にぴったりとペニスを嵌め込まれていると思っていたが、さらにぐりと私の身体を開いて腰を進め奥に押し込まれる。体を突き抜ける快楽でまた腰がのけ反る。ぎゅと杏寿郎の背中に爪を食い込ませる。
「あや、ここか。あぁ、気持ちいいな。」
杏寿郎が私の反応を見ながら腰の角度を変えている。杏寿郎の声を聞くだけで背中がゾクゾクして止まらない。眩暈がする。・・・おかしくなる位全部が気持ちいい。
コツコツコツと奥を突かれ、時折ぐりと押し込まれる。白い星が飛ぶ。はふはふと口が開く。足のつま先に力が入る。
あ・・・またくる。くるくるくる。肩と背中がゾワリと聳つ。押し寄せる波を受け止めようと、ぎゅっと目を閉じる。杏寿郎が私の瞼にキスをする。その刺激で目を開けると虎の炎はまた優しいイチゴゼリーになって私を見ていた。