第20章 ※炎虎 【煉獄杏寿郎】3
誰もいないエレベーターに乗ると、お互い視線を絡ませキスをする。指定の階に着くと、杏寿郎は「ほら早く」と笑って手を引くと少し速足になる。あやも微笑みながら少し駆けて付いていく。部屋の前で微笑み合って、中に入ってまたふふふと笑い合って、すぐにキスを始める。キスをしながらベッドまで移動してベッドに縺れ込む。数回キスをした後、杏寿郎が体を少し離して渋い顔をする。
「・・・あや、やっぱり先にシャワーを浴びてもいいか?」
「杏寿郎さん。私もそう思っていました。」
「先に行っていいぞ。」
「では・・。」
あやは体を洗いながら睡眠薬を使うかどうか考えていた。ホテルなので盗聴器を仕掛ける必要が無い。持ち物に紛れ込ませる方法もあるが、見付かる可能性が高い。
一応秘部を綺麗にしておこうと手をやると、すっかり蜜が溢れてぬるぬるしていた。勿論そうなっている自覚はあった。胸も高鳴っている。どうやら体は繋がりたがってる。
・・・答えはほぼ出ているのだが、不安が大きい。どうしよう。
シャワー室から出ると、杏寿郎はジャケットを脱いでネクタイを外している所だった。あやを見ると微笑み、傍へ来てちゅと唇にキスをした。
「すぐに出るから。」と囁くと、あやの腰に腕を回して肩口から首筋を通って顎の下あたりまでちゅちゅちゅとキスをしてきた。あやは首の後ろの辺りで「あ」と声が漏れ、口元を手で隠して赤くなる。杏寿郎はそれを見てにこっと笑うともう一度「すぐに出る。」と耳元で囁いて耳朶を舐めるとバスルームに向かった。
あやはベッドに腰かけ、舐められた耳朶を触りながらこれからについてもう一度考えていた。
・・・とはいえ、考える余地など実は無く、仕事として割り切れば睡眠薬一択なのだ。体まで差し出す必要は無い。でも、あやとしては杏寿郎になら許してもいいという気持ちも出てきている。この気持ちは『好き』だ。
どうやらかなり。