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桃紅柳緑【鬼滅の刃】【R18短編集】  

第19章 炎虎 【煉獄杏寿郎】2


波の音と、遠くの船の汽笛の音を聞きながら夜でも煌々と明るい東京の夜景を見て歩いた。二人とも口は開かず、ただ手のぬくもりを感じ合った。
杏寿郎は立ち止まり、少し大げさに繋いだ手を数回ぶんぶんと振るとあやの顔を見て微笑む。

「実は今日は亡き母の命日だったんだ。それと少し嫌な事もあって感傷的な気持ちになっていたんだが、君と会う約束をしていて良かった。いい日になった。ありがとう。」

「・・いいえ。そう思って下さって嬉しいです。私の方こそ歌舞伎も観覧車も初めてで楽しかったです。」

「・・ではまた行こう。・・・あや、夜景と言えば・・?」

「ふふふ。キスですか?」

「そうだ。今度は目を閉じてくれ。さっきは見てただろう?」

「私、杏寿郎様の綺麗なお顔に見惚れていました。」

あやはにこっと笑って目を閉じる。
「光栄だ。」と杏寿郎は小さく呟くとあやと唇を重ねる。唇が離れるとぎゅっと抱きしめてきた。

「さぁ、あや、次の出勤日はいつだ?」

「次は月曜です。」

「よし。ではまた月曜に同伴だ。」

「ありがとうございます。」

杏寿郎はタクシーにあやを乗せるとまた何枚もの一万円をあやの鞄に入れる。あやが何か言おうと口を開いたが、杏寿郎は「月曜のドレスを買ってくれ。次は・・・レースのドレスだ。」と笑顔で手を振りながらドアを閉めさせる。仕方が無いので、「ありがとうございます。」と微笑み返して帰路についた。


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