第18章 炎虎 【煉獄杏寿郎】1
あやはメイクを落として着替えると、もう一度煉獄杏寿郎についての資料を見返した。杏寿郎の母は彼が8歳の時に亡くなっていた。そしてその数年後に父親は夜勤明けの帰宅途中に交通事故で死亡している。
杏寿郎の父親は・・・あやと同じ組織犯罪対策部の刑事だった。親戚のいなかった煉獄は5つ年下の弟と施設で過ごしたらしい。
煉獄が高校を卒業する頃に産屋敷から声を掛けられて組入りし、組のお金で法学部を卒業して、今に至るようだ。司法試験を受けてはいないが、法律の抜け道を見つける為の知識は十分に備えている様だ。
マル暴の刑事の息子がヤクザなんて・・・。
どういう神経なんだろうと思いながらも、明らかに母親と自分を重ねている杏寿郎の様子に少しだけ胸が痛んだ。
あやは小さく溜息をついて、今日のお礼のメールを杏寿郎に送ると、すぐに「こちらこそ楽しかった。明日も会いたいが、明後日まで我慢する。」となんとも可愛い返事が返って来た。変な男だと思いながらあやは眠りについた。