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桃紅柳緑【鬼滅の刃】【R18短編集】  

第18章 炎虎 【煉獄杏寿郎】1


兄とは兄弟分である堂磨のことである。あやは自然に見えるように会場を見回す。冨岡も伊黒も到着しており、それぞれの付き人と話している。堂磨の方を見ると何人もホステスを席に着かせて楽しそうに飲んでいた。

あやはさっきから自分は座って煉獄にお酒を呑ませてもらうだけで何もしていないことを申し訳なさそうに謝る。
「煉獄様。私、何もお仕事をせずにすみません。」
「いいや。俺は君を構って遊んでるんだ。楽しんでいるぞ。そして俺の事は杏寿郎と呼んでくれ。あや、ナッツが来た。試してみよう。」
煉獄はカシューナッツを一粒手に取ると、「ほら」とあやの口へ運ぶ。杏寿郎はあやの口にナッツを入れた後、指の背ですると頬を撫で微笑む。
あやはナッツを少し噛んでブランデーを口に含んでみる。さっきよりも飲みやすく美味しく感じた。
「煉獄様。」
「ほら、杏寿郎だ。」
「・・・杏寿郎・・様。おいしいです。」
「ふふ。そうか。確かにさっきより良い顔だ。では、俺にも。」
杏寿郎は少し顔を近づけてあやの顔を覗き込む。あやもカシューナッツを一粒持って杏寿郎の口へ運ぶ。口の中に入れた瞬間あやの指先が杏寿郎の少し荒れた唇に触れた。杏寿郎はそれに気付き、あやと目を合わせてにこりと微笑む。そして目を合わせたままゆっくりとブランデーのグラスを傾ける。こくりと飲み込むと「うまいな。」とぱっと笑った。

杏寿郎はまたあやに顔を寄せて、耳元で「この後、君が嫌で無ければ食事に行こう。俺は酒を飲むよりも食べる方が好きなんだ。」と笑いながら囁く。

(なんだこの男は・・・。)
あやはあっという間に煉獄杏寿郎という男に興味を持った。おそらく杏寿郎も自分に興味を持っている。清純な見た目と、初々しさと落ち着いた反応は作戦通り功を奏している様だ。


その後、杏寿郎は席に来る人と話をしたり、またあやと一緒にブランデーに合うおつまみを試してみたりした。チョコレートが一番美味しいと2人で笑い合う。

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