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桃紅柳緑【鬼滅の刃】【R18短編集】  

第18章 炎虎 【煉獄杏寿郎】1


「・・・・。」
何も言わない男を見て、近くにいる高橋に向けて手を挙げた。高橋は静かに煉獄にパソコンを渡す。
睨みつけるような目で見てくる男の目を見据えながら、煉獄は静かに画面を開くと数回キーボードを叩く音がして、止まり、画面を読み上げ始めた。
「・・・・〇×商事・・・営業部・・・所在地は東京都港区△△町一丁目・・」
「ええと、次の項は・・・・都立〇〇小学校・・・1年3組・・・。」
「ランドセルはブラウンか。最近のランドセルはいろんな色があるんだな。」
男の顔色がサッと変わる。杏寿郎はその様子をチラと確認してからまたパソコンの画面を見て続ける。
「□□マザーズクリニック。そうか。来月か。男の子か?賑やかになるな。」
煉獄は顔を上げて、青ざめている男を見る。そしてにこっと笑いまた手を挙げると、高橋が紙を男に渡す。

『子供の臓器値段リスト』

「ちょ・・・ちょっと待ってくれ。」
「どうした?・・なに、来月まで待てばまとまった金が作れそうじゃないか。いいタイミングだったな。心臓はやはり良い値がついている。」
「・・・・わかった。払う・・払います。どうか子供だけは・・・。」
「ん?君、子供がいるのか。俺はたまたま目に付いた文を読んだだけだ。・・・まぁ、賢明な判断だ。こちらとしては借金を返してもらえるなら有難い。」
煉獄は男の目をじっと見たまま続ける。
「ウチの者たちが乱暴して悪かった。返済計画を立てたら開放してもらってくれ。・・・・まさか、また逃げようなんて思わないよな?・・長野市にお住いのご両親もご健在で何よりだ。」
「逃げません!車と家を売ります。すいませんでした。」
さらに青ざめて必死に頭を下げる男を見ながら、煉獄はもう一度にこっと笑うと椅子から立ち、出口に向かう。高橋がドアを開け、部屋から出て行く。

ビルの出口を出たタイミングでピカピカの黒いBMWが停まり、車のドアを高橋が開けるとそれに乗り込む。車が走り出したのを待って煉獄は溜息をつきながら高橋に言う。
「俺が行くほどの事だったか?」
「すいません。」
「やたらに殴るなと言っておいてくれ。」
「承知いたしました。」
煉獄はまた大きく溜息をつきながら車窓を流れるネオンをぼんやりと見た。
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