第17章 ※天馬行空 【宇髄天元】 3 完
京都駅で再会した宇髄君は嬉しそうに抱き付いて来た。
「俺、これから毎日あやちゃんに会えんの?」
「・・・会おうと思ったら会えるだろうけど、・・・きっとお互い忙しいよ。」
「まぁいいや。パスポート無しで会えんだから。」
「ふふふ。そうね。」
それからは、宇髄君には会いたい時に連絡してって言っておいた。宇髄君の会いたい時に私の予定が合えば会いに行く。美術館に行ったり、食事したり、ちょっと遠出をしたり、セックスしたり。恋人みたいに。
でも、この関係に名前は無い。私から会いたいって連絡はしない。好きとも言わない。私の家の場所も教えない。宇髄君の家でも一泊以上はしない。合鍵は何度も断った。
京都に来てすぐの頃、「俺とあやちゃんって付き合ってる?」と訊かれた。
「・・・付き合ってないよ。彼女とか作って大丈夫だから。宇髄君が連絡して来なくなったら察するから。」と答えたら、宇髄君は少し寂しそうな顔をして続ける。「あやちゃんに好きな人できたらどーすんの?」
「・・・ちゃんと報告するよ。多分。」
・・・宇髄君と一緒にいる時は他に好きな人できないと思うけど。
「俺とは付き合えねぇの?」
「・・・宇髄君はそういうんじゃないなぁ。」
もっともっと大切な人。彼の人生を縛りたくない。彼の尊い時間を私の気持ちで奪いたくない。
・・・何よりも、6つも歳上な私をこんな素敵な子にずっと好きでいて貰える自信が無い。
「・・・・それって・・・・セフレ?」
「う~ん。なかなかのパワーワードだけど、それが一番しっくりくる言葉になる?」
いいの。それ位冷たい人間って思ってくれれば。宇髄君が好きな人を見付けるまでのつなぎにでもして欲しい。明らかにムッとした顔をしていたけど、宇髄君はふぅっと嘆息する。すぐにいつもの顔に戻って言う。
「・・・まあいいや。今まで通り、俺が会いたいって言った時には会えるんだろ?」
「うん。予定が会えばね。」
宇髄君は私の唇にちゅっとキスをした。「えっちな事もしていいの?」「・・・宇髄君がしたいなら。」そっと私の背中に腕を回して唇を何度も重ねる。「あやちゃん。したい。」「いいよ。」わたしもそっと宇髄君の背中に腕を回す。