第17章 ※天馬行空 【宇髄天元】 3 完
アパートに着いた。宇髄君はよく知らない人とのルームシェアに驚いていたけど、こっちは家賃が高いから中心部に住む学生は大体そんな感じ。共用のリビングには誰もいなかった。
私の部屋に入り荷物を置くと、2人で窓から見えるドゥオモを眺めた。
何時だろう。あちこちの教会の鐘がガランガランと鳴っている。
宇髄君は私の肩にそっと腕を回して抱き寄せるとちゅっとキスをして私の顔を見た。肩にあった腕は腰に回される。
「なぁ、あやちゃん。キスの続きいい?」
「・・ゴムある?」
「ん。日本で買ってきた。」
「ベッド、狭いよ。」
「・・俺、足はみ出るね。」
宇髄君はそう言って笑うと、私の手を引いてベッドに移動する。イタリアのベッドは何故か幅が狭い。宇髄君がベッドに腰かけるのを見て一度手を離すと、部屋の鍵をかけ、電気を消す。ドゥオモのライトアップと、街の明かりが入り込んで部屋は結構明るい。
宇髄君を見ると、宇髄君もこちらを見ていて、「早く」と両腕を拡げた。……元・生徒だからいいよね?もう断る理由ないよね?
私はそっと宇髄君の腕の中に納まり、背中に腕を回して体を預ける。宇髄君は私の顔を覗き込んだ。唇を重ねながら沢山話をした。
「あやちゃんさ。痩せた?」
「そうかも。ストレスもないし、毎日いっぱい歩くから締まってきた?宇髄君はさ、なんか・・・。」
私は改めて宇髄君の顔見た。久しぶりに見たっていうだけじゃなくて、宇髄君は色気が出て来たというか、大人っぽくなっていた。
「かっこよくなった?」
「・・・なった。びっくりした。」
「ありがと。あやちゃんの好み?」
「ふふふ。内緒。」
宇髄君は私の首筋に唇を付けて舌を這わせてきた。
「イタリア、すげえな映画の中にいるみてぇ。」
「ん・・・宇髄君、かっこいいからこの街並みに合う。」
「今、俺の事かっこいいって言った?」
「言った。マルスみたい。あ・・・。あ。ふふっ」
「マルスみたいに鍛えた体も見て?」
宇髄君はそう言うと薄手の二ットを脱ぎ、ぴったりしたTシャツもぬいだ。触った感じで何となくわかっていたけど、薄明かりに照らされた宇髄君の筋肉はかなり鍛え上げられていて、本当に彫刻みたいだった。
「・・・・綺麗。」
私はそっと腕を伸ばして筋肉と筋肉の間の窪みを指でなぞる。首筋、大胸筋、外腹斜筋、腹直筋。大胸筋は掌で包んで質量を楽しむ。