第16章 天馬行空 【宇髄天元】 2
校長室に行くと、宇髄君の母親と校長、教頭、主幹教諭も学年主任もいた。
・・・宇髄君、ババァなんて言ってたけど、お母さん、めちゃくちゃ美人でセクシーじゃん。
応接セットの机の上には私が宇髄君に抱き締められている写真と、手を繋ぎながらキスをしている写真があった。
準備室からこの角度にあるのは、国語科資料室だ。
・・・・松本か。
上からは中が結構よく見えるんだ。
はい。私、終了。悪いのは私だけどね。
校長先生がすっごく怖い顔で私に言う。
「紫天城先生。・・・・宇髄さんと我々にこの写真の説明をしなさい。」
どうせもうクビだから、少し開き直って言う。
「すみません。天元さんを好きになってしまいました。半年ほど前からです。」
「・・・・・どう責任を取られるおつもりですか?」
「今日限りで学校は辞めます。今後天元さんと会うことは致しません。すみませんでした。」
「そんなの当たり前です。・・・うちの子は傷付いています。これで受験を失敗したらどうされるおつもりですか?」
傷付いてるっていう言葉が胸に刺さった。
宇髄くんを傷付けちゃった?
受験に関しては・・・どっちかって言ったら、私が色々関わったおかげで宇髄君は安定して勉強しだしたんだけど。
・・・うん。勿論言えない。
・・・まぁ、どう考えても17歳の子どもとキスなんかしている私が悪いよ。
教員の不祥事。公立学校だったらきっと実名入りで『美術準備室で生徒とキス』って新聞に載ってた。私立で良かった。
「・・・すみません。」
暫く宇髄さんには怒られたり、人格を否定されたり、美術を馬鹿にされたりした。仕方ないけど。