第16章 天馬行空 【宇髄天元】 2
仕方が無いので、続きを聞いてやる。
まあ、宇髄君の言うことも一理ある。私、宇髄君が喜びそうなことばかりしてあげていた。私にだけ素直になってくれる宇髄君は確かに可愛かった。人殺しみたいな目をしていた宇髄君が、だんだん可愛い優しい目に変わっていくのを見るのは凄い優越感だった。
「ねー。責任取ってって、何して欲しかったの?」
宇髄君の表情がまたスッと戻って、真面目な顔になった。「ほら、そういう所」と言いながら、宇髄君は私の指先と自分の指先を絡めてきゅっと力を入れ、少し考えて言う。
「・・・俺があやちゃんを好きになることを許してくれねぇ?」
「・・・・・6歳も年が違うよ?」
「関係ねぇよ。実際好きになってんだから。」
・・・宇髄君は本当に可愛いなぁ。そんなこと言ってくれるの?
「・・・わかった。いいよ。ありがとう。」
宇髄君は少し微笑んだ後、さらに指先に力を込めて言う。
「後、キスを唇にさせて。ほら。今なら誰にも見られねぇ。」
「・・キスだけ? 」
「・・今はキスだけ。」
「・・・・じゃあいいよ。」
私は目を閉じる。
宇髄君は「好き」と小さく言った後、ちゅっちゅっと唇に2回キスをした。「あ、やっぱハグも許して」と言いながら私の頬と宇髄君の頬をつけて、腕を背中に回してきた。ぎゅっと抱き締められる。
あーあ。ごめんね。宇髄君。宇髄君にわざと言わせた。可愛い宇髄君。好きだよ。私も。大好き。
・・・言うときっと困らせちゃうから私からは好きと言わない。でもきっと、気持ちが態度に出てたよね。
私もそっと腕を回して掌を宇髄君の背中に付けると正直に謝った。
「ごめんね。宇髄君。私、年が離れてるからあなたの恋愛対象にならないと思ってた。私の行動、悪かったね。」
「・・・ごめんて言うなよ。あやちゃん悪くねぇよ。・・いっぱい許してくれてありがと。・・・俺、あやちゃんがクビにならない様に行動には気を付けるからさ。」
「うん。それは本当によろしくお願いします。」