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桃紅柳緑【鬼滅の刃】【R18短編集】  

第16章 天馬行空 【宇髄天元】 2


「・・・聞いてた?」
私はちょっと恥ずかしくなって拗ねたように言ってみた。宇髄君はふっと微笑んでこちらを見てる。・・・・あれ?こんな優しい顔で笑うんだっけ?

「あやちゃん。絵の話してる時、無防備な顔になるね。」

「・・無防備?どういうこと?」


「すっげぇ可愛いってこと。」

そう言うと宇髄君は私の肩をそっと抱き、顔を近づけて私と目を合わせる。宇髄君は視線を逸らさずに鼻先と鼻先が当たるほど近くに顔を寄せてきて、一瞬止まって私の頬にちゅと唇を付けた。また目を合わせて顔を離す。

「あやちゃん、キスの時って目、閉じねぇの?」

「・・・・・・。」

「・・・・俺、一応遠慮してほっぺにしてみたんだけど・・・。」

「・・・・・・。」

私が何も言わなくなったので、宇髄君はだんだん焦り始める。

「・・・え?ほっぺも駄目なの?イタリアじゃ挨拶って言ってたじゃん?」

やっと私は口を開く。

「・・・・ここ日本。それに挨拶じゃなくてキスだったじゃん。・・・・・カーテン開いてるし。」

「怒った?」

「・・・怒った。宇髄君一週間準備室には出入り禁止。」

「・・・美術室には来ていいの?」

「・・・そこはいいよ。絵、たまには描きたいんでしょ?」


「・・・・分かった。紫天城先生、じゃあ・・・さよーなら。」
宇髄君は私の方を見てから、一瞬何か言いたそうに口を開いたが、その口をきゅっと結んで図版を持って帰った。



・・・・私さっき、キスされるの分かってたけど止めなかった。
それ位ならいいかって思ってしまった。

宇髄君はちょっとずつ距離を狭めてくる。

・・・宇髄は生徒。うん。可愛い可愛いちょっと特別な生徒。


定期テストが終わった。
宇髄君は相変わらずお昼には来て、ご飯を食べてから少し絵を描いて授業に行く。コーヒーは準備室だからあげない。ミントは欲しがる時はあげる。
私は話しかけられたら返事はする。
どういう心境か知らないけど、何回か友達を連れてお昼に美術室に来た。不死川君は知ってたけど、新しく冨岡君。冨岡君は、物静かな生徒だけど、宇髄君と意外と気が合うみたい。
定期テストは前よりも点数が良くなっていた。


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