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桃紅柳緑【鬼滅の刃】【R18短編集】  

第16章 天馬行空 【宇髄天元】 2


松本先生が出て行って、ドアが閉まるのを私と宇髄君は静かに見守っていた。
ドアが閉まって、足音が遠ざかるのを聞いてから、宇髄君が話し始めた。

「松本、どうしたの?」

何から話せばいいか分からなかったのと、もう考えたくなかったので適当に誤魔化す。

「・・・良く分かんない。でも宇髄君いいタイミングだった。」

「ふぅん。」

宇髄君はちょっと口を尖らせて不機嫌そうな顔をする。え?怒っちゃった?なんで?まぁいいや。

「宇髄君はホントに何しに来たの?」

「・・・何か画集を借りに来た。」

「いいよ。何がいい?彫刻?絵画?日本画も面白いよ。」

「日本画は良く知らねぇな。あやちゃん、日本画は誰が好き?」

「片岡球子、田淵俊夫、・・・古典なら若冲かな。私もそんなに詳しいわけじゃないけどね。日本画。」

私は、大きな本棚を見ながら今言った作家の図版を捜す。若冲あたりならありそう。

宇髄君が本を探す私にわざと横からドンとぶつかってくる。何だ?と思って、宇髄君を見る。宇髄君もこちらを見ていた。

「あやちゃん、松本が好きなの?」

「え?そんな風に見える?好きなわけないじゃん。」

そんな事かと思って、また本を探し始める。

「じゃあ何ではっきり断らねぇの?」

「・・・宇髄君、聞いてたの?」

「俺、耳良いんだよ。」

「・・・・だって、同僚だよ。はっきり断ると明日から気まずいじゃん。あ。若冲あった。ほら、取って。」

「どれ?」
宇髄君は私の後ろに立って私が指さす方を見る。

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