第15章 天馬行空 【宇髄天元】 1
「ごめんて思うなら、授業行きなよ。」
「違う。ババアのこと。」
どうしたもんかと思ったが、聞いてほしいのかと思って聞いてみる。
「喧嘩でもした?」
「俺が絵の具を大量に買って帰ったのを見つけてキレ始めた。美大に行きたいって言ったらこんなことになった。」
「そう・・。」
「あやちゃん、担任外されたんだろ?」
「うん。そう。・・・宇髄君を美術部から辞めさせろとも言われた。」
「・・・あのババア・・。」
「でもね、美術系に行きたいって言ったら、不安になって同じようなことする親も多いよ。もっと一般的な職業の方が親は安心するのは宇髄君も分かるでしょ?」
「・・・・。」
「私の親も、教職取って美術の先生やるからって言ったらやっと美術系の大学行かせてくれたもん。」
「宇髄君。でも、きっとね、一番はあなたの成績が下がってきてるからだと思うよ。先生は。」
宇髄君の方を見ると、彼もこちらを見た。
「・・・・。授業、つまんねぇ。」
「親のお金で生きているんだから、好きな事ばっかりせずに、少しは安心させてあげなよ。美術の大学でも勉強いるとこ多いし。」
「・・・あやちゃん。ホントの先生みてぇ。」
「・・先生っぽくしてみた。・・・今のは建前ね。」
「本音はね、成績が落ちない程度に勉強を頑張って、学校にいる時に好きに絵を描きに来ればいいじゃん。って思ってる。」
「でも、美術部辞めろって。」
「辞めたら絵、描けないの?」
「・・・・描ける。」
「・・別に美術室は誰が使ってもいいんだから、来て描けばいいんじゃない?・・まぁ・・でも、ちょっと放課後に絵を描く回数と時間を減らした方が良いよね。」
「何も絵の具使わなくたって、紙の切れ端に指とか手のデッサン描いたり、パソコンで色の組み合わせ考えたり、結構どこでも努力できるよ。でも、パソコンで絵は描いちゃダメよ。気が付いたら3時間くらい経ってるから。」
「ふふ。分かった。あやちゃん。ありがと。」
宇髄君はそう言うと体を私の方に倒してきて、私の腕と、宇髄君の腕が密着する。咄嗟に私は体を横にずらして離す。宇髄君はもっと体を倒してきて、私の肩に頭をのせた。気が付いたら、保冷剤を持った手も握られていた。手を掴まれているので体がうまく動かせない。