第15章 天馬行空 【宇髄天元】 1
宇髄君が帰ってから私は掃除をして、準備室で次の日の準備をした後、職員室に行くと他の先生たちが私をチラチラと気の毒そうに見る。・・・え?何?
嫌な感じ。と思いながら、席につくとすぐに校長室に呼ばれた。
校長は椅子に座ったまま私の方を見て言う。
「紫天城先生。宇髄の母親から電話があった。」
うわー・・嫌な予感。
「・・・どういった内容ですか?」
「母親が言うには、勉強させるために高校に行かせているのに、息子は絵ばっかりかいて遊んでいる。担任の先生が5教科の担当ではない上に、お絵かきなんて遊びを教えていることで悪影響が出ている。とのことだ。経験の浅い若い女の先生ということも不満なんだそうだ。」
「・・・すいません。」
すごい言いがかり。と思いながらも、私は一応申し訳なさそうな顔を作って謝る。それを見ながら、校長は立ち上がって続ける。とても言いにくそうに。
「いや、君が悪いことをしているわけでは無いのは分かっている。宇髄も最近は扱いやすい生徒になってきた。・・・・・しかし・・・・。」
「何ですか?」
え~?せっかく慣れてきたのにクビ?と半ば諦めの気持ちで続きを聞く。
「担任を5教科の先生に変えて、美術部は辞めさせろとのことだ。」
「・・・クビではないのですか?」
「・・・何も悪いことをしていないのにクビにはできない。副担の国語の先生と変わってくれ。」
「・・・そうですか。はい、分かりました。明日から私は副担で、宇髄は美術部を辞めさせればいいんですね。」
「・・・そうしてくれ。」
「選択美術は続けて受けさせてもいいですか?今、宇髄から美術を取ったらきっとまた荒れると思うので。」
「そこは言われなかったからいいだろう。」
「わかりました。」
私は校長室を出て、自分の席に戻る。他の先生は気の毒そうな感じを出しながら遠巻きに見るので、居辛くなって、早く帰った。