第15章 天馬行空 【宇髄天元】 1
宇髄君は、本当に美術を好きで選択した様で、結構真面目に授業には出る。
・・・あ。もしかして今日は美術があるから朝から来てるのか。けっこう可愛いところあるな。
今日の美術はこの前で約2カ月位かけた自画像が終わったから、少し谷間。昨日花屋で買ったバラやヒマワリ、芍薬、アヤメ、カーネーションと、ニゲラ、カンパニュラ、もうすぐ終わりのカリフォルニアポピー。
この中から好きな花を選んで色鉛筆で描かせる予定。今日の2時間で完成させる。
カリフォルニアポピーは学校の花壇に切りに行く。学校の花壇に咲いていたのを見つけて、モチーフにしたいと思ってたから許可は取ってある。鋏を持って花壇に行く。
太陽みたいなオレンジ色のカリフォルニアポピー。他にも薄い黄色や私の好きな珍しいサーモンピンクのもある。花弁が少なくて潔い可愛い花。いくつかを切って持って来たバケツに入れていく。ふと視線を感じた。校舎の方を見ると、教室の中の宇髄君と目が合う。頬杖をついてこちらを見ている。
え・・恥ずかしい。いつから見てたんだろう?ニヤニヤしながら花を切っていた気がする。私はすぐに視線を逸らしてそそくさと校舎内に入った。
3・4校時は担任しているクラスの選択美術。20人弱の生徒が履修している。
好きな花を1~3種類。本数は自由。いくつかの花器の中から合いそうなやつを選んで花を入れて数人で共用のテーブルに持って行く。事前に持ち物として知らせておいた色鉛筆でちょっといい画用紙に描く。背景は無し。描いていいのは花と、花器。構図はお任せ。
宇髄君はピンクと黄のカリフォルニアポピーとニゲラを数本ずつ。色鉛筆が無いらしいので、貸してあげた。宇髄君はみんなが選んだ最後に花を選びに来た。そういう所は好感が持てる。
一番後ろの席で一人だけ窓の方を向いて描いている。
フードのせいで今朝の怪我がよく見えない。