第2章 ※恵風和暢 【不死川実弥】2 完
「あやサン。続きさせてください。」
「今度は泣かずにできる?」
「あぁ。泣くのはあやサンだからな。」
口の端を上げ、にやっと笑う
「・・私、泣かされてばっかり。」
そう言うと、あやは小さく肩をすくめ、小首をかしげて困ったように笑って見せる。
「あやサン。好きだぜ。」
掌で頬を包み親指で涙の後を拭く。顔を近づけて優しく口づけをする。
その掌を顎まで下ろし、あやの顎を少し上げる。親指で薄桃色の唇をフニフニと触る。
「小せェ口だなァ。」
親指で少し口を開けさせて唇で口を塞ぎ、そのまま歯列を舌でなぞる。唇を優しく噛んでまた口を離す。
「なぁ。本当に継子になってくれよ。そんで一緒にいりゃぁいいんだよ。早く気付きゃ良かった。」
「・・・継子になっても、あやサンって呼んでくれる?その変な敬語みたいなのも無くなると寂しいなぁ。」
あやは眉尻を下げ、上目遣いで実弥に言う。
「へェ。そんなんで良かったのかよォ」
実弥はあやの目を見て二ッと笑う。
「あやサン、その綺麗な灰色の瞳をもっとよく見せてください。」
「あやサン、可愛い声で俺の名前をもっと呼んでください。」
「あやサン、俺の傍にいて守らせてください。」
1つ言う度に、少しずつ顔を近づける。実弥の顔はもう鼻先が触れる位に近付いている。
あやは突然の実弥の言葉に真っ赤になって、フイと目を逸らしたが、実弥に顎を掴まれて、また正面に向かされる。
「何だァ?根性がねェなァ。目を見て話すだろ?あやサン。」
実弥はくっくっくっと優しく笑いながら、鼻と鼻をツンと当てる。
あやの表情が少し柔らかくなったのを見て続ける。
「あやサン。・・・好き・・です。」
実弥は穏やかな顔で微笑み、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっと優しく口づけをする。