第15章 天馬行空 【宇髄天元】 1
「あやちゃん・・・それ、俺じゃなくて相手に言ってくんねぇ?勝手に殴ってくるから仕方なしにだぜ。俺被害者よ?やり返さなきゃ俺、死んじゃうって。」
「じゃあ、明日朝、迎えに行ってあげよっか?先生が相手の子を叱ってあげよっか?一緒に学校行く?」
「え?いいの?・・・まぁ・・あいつらあやちゃんがダメって言っても聞かねぇだろうけど。・・・あやちゃん、どこまで本気?」
「・・・全部冗談。行っても何の力にもなれないもん。」
「なんだ。残念。迎えに来てくれんのかと思った。」
「・・・宇髄君。あやちゃんじゃなくて、紫天城先生って呼びなさい。」
「今更・・・。」
「ほら、チャイム鳴るよ。授業に行きなさい。」
「はぁい。紫天城せんせ。」
宇髄君が保健室から出ると、すぐに保健室の先生が戻って来た。「今日も怪我してきたの?」と言いながら。
この人はいつも宇髄君の手当てはしようとしない。聞いても無いのにさらに続ける。
「紫天城先生、宇髄と関わらない方が良いですよ。あの子ヤクザとか半グレの集団とかとつるんでるんですって。保護者もクレーマーだし。」
だから何なんだろう。手当てをしたらヤクザになるんだろうか。でも、きっとこの人は私の事を思って言ってくれているんだろうから、「そうなんですね。」とよく分からないけど、相手も黙りそうな返事をする。
「そうなのよ!」・・・ほら。会話終わり。
「消毒と保冷剤使いました。それでは失礼します。」