第14章 ※炎炎 【煉獄杏寿郎】4 完
俺はもらったお茶を飲むとボクサーパンツとTシャツを着る。
ベッドに腰かけて鏡で腫れた目を確認しているあやを背中から抱きしめ、鏡越しに目を合わせる。
あやも目を合わせて「泣きすぎた。」と笑う。
もう一度あやをぎゅっと抱きしめる。
「なぁ・・あや・・・。」
俺の言葉を最後まで聞く前にあやが俺の腕を外して振り向きながら言う。
「・・・杏寿郎。離婚は嫌。」
「何でだ?」
「人の不幸の上に幸せは来ない。そもそも離婚はあなただけの意思ではできない。」
「この状態はもうすでに取り返しがつかないと思うぞ。」
「そんなことない。もうあなたと会うことは無いもの。どうにでもなる。・・・勝手な言い分で奥さんには申し訳ないけど、今日までの3週間だけ大目に見てもらう。」
「私たちは前世でもそうだった。約束したけど結婚する前に死んでしまった。今生でも結婚できないタイミングで出会った。私達には結婚する縁が無いんだよ。」
「どうしても?」
「その約束だったでしょ?実習終了の日から一日ずらしちゃったけど。」
あやは体をこちらに向けて微笑む。
「・・・ねぇ杏寿郎。私、不死川さんと付き合うことにした。」
「不死川と?」
「そう。杏寿郎には奥さんがいるってわかってるのに好きになりすぎちゃって辛いから、他の人を好きになってみようと思う。不死川さんは私がめそめそ泣いてばかりだから見兼ねて声かけてくれた。・・もうキスはした。」
「・・・水曜日の話か?」
「うん・・。あと昨日の夜も私があなたと離れて落ち込んでないか見に来てくれた。」
「・・・・そうか。」
「・・・杏寿郎?ショック受けてる?あなただって、実習期間中に奥さんとキスしたりセックスしたりしたでしょ?」
「・・・不死川が好きなのか?」
「不死川さんは、きっと妹さんの事がきっかけなんだろうし、私もあなたを忘れるためだからこれからお互い好きになっていくんだと思う。とっても優しい人。でも時々イジワルになりそうだから、私好み。」