第14章 ※炎炎 【煉獄杏寿郎】4 完
あやが一つ大きく呼吸をするとにこっと笑って言う。
「杏寿郎、がっつきすぎ。びっくりする。」
「・・・あや、君が煽るからだ。・・それに、君も随分だったぞ?」
俺は体の向きを少し変えて、ゴムの箱を探す。
箱に手を伸ばす。あやは驚いた顔をして俺の腕を掴む。
「杏寿郎。さすがに・・もうちょっと待って。」
ゴムの箱の中にはあと一つしかない。
「五個入り?」
「そう。ちょっといいやつ。」
「・・・・そうか。優しくてマメな彼氏の為に?」
「ふふふ。ヤキモチ焼いてる。」
「・・・焼いてないぞ。」
「・・・安心して。その彼すぐに別れた。本当はその五個入りはセクハラをしてくる煉獄先生の為に。いいやつの方が気持ちいいかと思って。」
「気持ちよかったか?」
「・・・私の方の感覚は変わらないんじゃない?あなたが良い様にだよ。まぁ、私は初めてだから差が分かんないけど。」
「・・・ん?・・初めて?」
「そう。今生ではね。いつも付き合ってもここまでいかない。すぐ別れる。大して好きになれないんだから仕方ないんだけど。」
「・・・む・・激しくしてすまなかった。」
「ふふふ。あなたに激しくしてほしかったの。」
「・・・次は優しくする。」
「えー?ホントかなぁ?・・・ねぇ杏寿郎。もうお昼過ぎだけど、お昼ご飯はお家に帰るって言ってあるの?」
「いいや。今日は五時半から飲み会があるんだ。部活の後は学校で仕事をしてそのまま行くと言ってある。」
「じゃあ、先にご飯でも食べに行く?」
「・・・行きたいが、ジャージだぞ。いいか?」
「ジャージで行ける所に行こう。」
俺達はあちこちに脱ぎ捨てたジャージを笑いながら拾って着た。
そして昼食を食べに出かけた。
他愛もない話をずっとして笑い合った。