第2章 ※恵風和暢 【不死川実弥】2 完
実弥は少し神妙な顔をし、あやの額と自分の額を付ける。
「なぁ、あやサン。その・・・乱暴にして悪かった。嫌な態度取ったらもう放っといてくれるかと思ったんだ。」
「もし、許してくれるなら、もう一回抱いてもいいか?次は優しくするから。」
あやはじっと実弥の目を見ながら聞いていたが、ぽんと実弥の肩を叩いて体を離す。
「・・・何で?放っといてほしいんでしょ?」
「実弥はいい顔になったから、今回の私の役目はもう終わり。」
「俺がしたことが許せねぇ?」
「そんなんじゃない。もうあなたは自分で気持ちが処理できるだろうから。さっきの事を無理に償おうとしなくていい。」
「じゃ、またね。もうここに来ることは無いから、心配しないで。」
あやが立ち上がろうとするのを腕をつかんで止める。
「いやいや、待ってくれ。勝手に解決すんなァ」
実弥がずいっとあやに顔を近づける。あやはずるずると後ろへ下がる。
それでも実弥はぐいぐいと近づいてくる。あやは逃げようと後ろへ下がるが、あっけなく背中が壁に当たってしまう。
実弥もあやもしばらく見つめ合って止まっていたが、あやは目を横に向け、また実弥の肩を押す。
「実弥。もういいでしょ?」
「あやサン。目、見てくれ。」
「いい。」
あやは、髪で顔が隠れる様にさらに顔を横に向ける。
「なぁ、あやサンの綺麗な目、見せてくれよ。」
あやの髪を手でかき分けて、顔を覗き込む。
あやの目には今にも溢れ出しそうな涙。