第2章 ※恵風和暢 【不死川実弥】2 完
「・・・何で・・・あやサンは・・・、いつもそうやって俺の心の中まで見てくるんだよ。」
「匡近もあんたも、お節介なんだよ。」
ふいっと顔を背ける。
「私は、実弥が可愛いし、・・大好きだから、嫌われても構う。」
「ほら、こっち見て、また自分を責めてるんでしょ?実弥。実弥。どうしたいの?泣きたい?」
目が合うと実弥の目から涙がポロポロと出てきた。
「好きってなんだよ。最初から言えよ。」
「あー、・・くそ。止まんねぇ。」
「止めなくていいよ。出し切ってみれば?」
あやが実弥をぎゅっと抱きしめ、頭を撫でる。
実弥は「チッ」と言い、大きく何度も溜息をつく。
「も、大丈夫っす。」ふーっと実弥は最後に一度深呼吸し、両手で顔を叩いてあやから離れる。
「実弥は優しいから、背負いすぎるんだよ。怒りがあなたを強くするのは分かっているんだけど、燃料がありすぎても火は消えてしまう。背負いきれない分は下ろしなよ。昔から実弥は一人で頑張りすぎ。」
と、実弥の顔を覗き込んで言う。
「頑張りすぎはあやサンも一緒だろォ?こんな小せェ手と細せェ体で、ボロボロになりながら何年鬼殺隊やってんだよ?」
実弥はあやの体に腕を回し、抱きしめる。そんな実弥の背中にあやも腕を回し、優しくとんとんと叩く。
「実弥はそうやって、私の事か弱そうに言うけど、私もう甲だよ。実弥が死んだら、次は私が風柱だから。」
「はぁ?はははっ。本当かァ?じゃあ俺の継子になるか?」
ばっと体を離してあやの肩を掴み、顔を見ながらにこっと笑う。
「実弥はやっぱり笑うと可愛いね。」
あやも嬉しそうに笑い返す。
「俺の事可愛いなんて言うのあやサンだけだぜェ。」