第13章 炎炎 【煉獄杏寿郎】3
俺は意を決して言う。早く体を離さないと。
「あや、10分過ぎた。」
「ん。知ってる。」
「ほう。では、体を離してくれ。」
「杏寿郎から離して。」
あやはそう言うとちゅっちゅっとキスをしてきた。
「あや・・・離れようと言ってるのに、くっつけてくるな。」
「ふふふ。あと三回だけ。」
ちゅっ・・・・ちゅっ・・・・。あやの動きが止まる。目には涙が溜まっている。
「あや。ほら三回目。」
三回目のキスは俺からした。あやの目に溜まった涙にもちゅっと唇を落とした。
ぎゅっとお互い体を抱きしめ合った。
俺はあやを抱えて立ち上がる。あやを立たせてからもう一度抱きしめて体を離す。
「あや何を飲む?お茶か?」
「・・・うん。お茶がいいな。冷たいやつ。」
「・・買ってくる。」
俺はドアを開けて飲み物を買いに出た。
自動販売機に向かう。
向こうから宇髄が来るのが見えた。俺の顔を見て一瞬止まった。
目が赤いんだろう?もうどうにもならん。
目が合うと俺はわざと目元を片手で隠す様にして笑い、すれ違う。すれ違いざまに宇髄に頭をポンと叩かれた。
自販機であやのお茶と俺のお茶を買って準備室に戻る。あやにお茶を渡すと、「ありがとう」と受け取った後、目元を冷やし始めた。俺もそうした。
「これでは職員室に戻れんな。」
「・・・杏寿郎の泣き虫。」
「それは君だろう?君につられた。」
目に当てたお茶を外して、あやと俺は目を合わせて笑い合う。
「・・・仕事するか。」
「・・・はい。」
仕事をしていたら少しずつ目が戻って来たので、俺は職員室に行って仕事をした。
この日はあやの方が先に帰った。