第13章 炎炎 【煉獄杏寿郎】3
不死川が少し嬉しそうな顔で準備室から出て来た。
「煉獄。終わったぜ。」
「あぁ。分かった。」
俺はその嬉しそうな顔に若干の不安を感じながら、手を付けている仕事を終わらせて準備室に行き、開けっ放しになっているドアをノックする。
「・・入るぞ。」
「はい。煉獄先生。」
開いているドアを閉めるのは不自然なので、ドアを開けたまま入る。
あやの雰囲気がさっきと少し違うが、それを俺が問い質すのはなんだか違う気がしたのでやめておいた。
「じゃあ、あや、今日の授業の反省からやるか?」
言いながら、不死川が出したであろう椅子に座ってあやを覗き込み、あやの手が届く位置に自分の手を置いて反応を伺う。
「はい。煉獄先生。」
あやは目を合わせないまま返事をし、俺の手をぎゅっと掴んだ。
あやはチラとドアが開いているのを確認した。俺達の位置は死角になっている。急にあやが俺にキスをしてきた。
一回キスをして俺の目を見る。
もう一回キスをして下の方を見た。
・・・少しの間。
あやは顔を上げて俺を見てふっと微笑むと、小さな声で言う。
「今日のキス。まだだったね。」
「あや、もっとしたいけど、我慢だ。」
俺はあやの額と俺の額をこつんと付けて、鼻先同士をちょんと当てると俺からもキスを一回だけして離れる。
・・・・う~ん。あやと不死川に何があったんだ?