第13章 炎炎 【煉獄杏寿郎】3
「俺は前からお前のこと結構気に入ってたんだぜ。今でもお前が笑った顔を見ると可愛いと思うし、毎日の様に泣きながら帰るのを見るのはつれェ。」
「・・優しくするぜェ。俺の事が合うか試してみてくれねェか?」
「・・・不死川さん。妹さんの為にそこまでするんですか?大丈夫ですよ。妹さんから取ろうとかそういう気は無いですから。」
「・・・違ェよ。まぁ妹の事も無いこたーないが、お前が好きだっつってんだよ。」
不死川は手を伸ばし、指先があやの頬に触れる。少し顔を近づけてくる。
「なァ。キスするぜ。嫌だったらよけろ。」
あやはすぅと息を吸って、一瞬口元をきゅっと引き締めてゆっくり息を吐く。そして何かを考えて目を閉じた。
そしてそのまま不死川の唇はあやの唇と重なる。
「・・・嫌じゃァねェってことだな?」
「・・はい。嫌ではなかったです。・・・ちょっと考えさせてください。確かに、不死川さんの言うとおり杏寿郎が好きすぎて辛いのは事実です。」
「あぁ考えてくれ。連絡先を交換しようぜ。返事もだが、それ以外のメッセージをくれてもいいぜ。俺からもメッセージを送る。」
「分かりました。・・・どんなメッセージが来るんですか?」
「・・・どんなのが欲しい?俺の笑顔とか、玄弥の寝顔とかどうだ?」
「玄弥君の寝顔は・・・本人が嫌だと思うので遠慮しますが、不死川さんの笑顔は興味深いですね。」
「あや、俺と一緒にいてくれるならそんなのいくらでも見せてやるぜェ」
そう言うと不死川はあやの目を見て優しく微笑む。
「・・・あー・・・破壊力ありますね。」
あやは少し赤くなりながら手で口元を隠す。
「そりゃぁ俺、褒められてんのかァ?」
「褒めてます。でも、ちょっと・・もう・・普通の顔に戻って下さい。直視できません。」
あやが口元を隠したまま横を向いてしまったのを見て、不死川はふっと笑い、あやの頭を撫でて立ち上がった。
「あや、邪魔したなァ。ほら生徒指導のレジュメだ。」
「善い返事待ってるぜ。」
不死川が立ち去る足音を聞きながらあやは目を閉じて大きく溜息をついた。