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桃紅柳緑【鬼滅の刃】【R18短編集】  

第12章 ※炎炎 【煉獄杏寿郎】2


少しウトウトしていると準備室のドアが開いた。ぱたんと小さく閉じる音がし、少しすると机に鞄を置く音。
ソファにいる俺に気が付いたのだろう。「あっ」と声がする。あやだ。
急いで荷物を持って部屋から走って出ていったが、十歩も行かないうちに止まった。微かに鼻をすする音がする。くすんくすんと泣きながらまた準備室に戻って来た。
あやは音を立てない様にそっと俺に近付くと顔を覗き込む。
「杏寿郎・・・。」
すすり泣く音と、小さな溜息がいくつも聞こえる。
俺はこのまま寝たふりをしておくか、目を開けるべきが迷っていた。
あやが、やっとまた口を開く。

「杏寿郎。・・・愛してる。どうしたらいいの?」

「・・あや、どうするか?」

俺は静かに目を開けた。そしてあやの手首を持って腕を引っ張り、俺の上に抱きかかえる。
あやは俺の胸の上で驚いた顔をしていたが、拗ねたように唇を尖らせた。
「起きてたの?」
「あぁ。君、感覚が鈍ったんじゃないか?狸寝入りに気がつかなかったのか?」
俺はあやの頬の涙の跡を掌で拭う。
「・・・聞いてた?」
「・・まぁ・・な。君が急に泣き出すから、起き上がりにくかった。」
「・・・じゃあ。さっきの言葉は撤回する。」
「ほう。」
「・・・不倫なんかするような杏寿郎は嫌い。」
「・・あや。気が合うな。俺もそんな不義理を働く俺のことは嫌いだ。」
「私、折角我慢してたのに。」
「あぁ。君は我慢していた。できなかったのは俺だ。」

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