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桃紅柳緑【鬼滅の刃】【R18短編集】  

第11章 ※炎炎 【煉獄杏寿郎】 1


同じ教育実習でも、教科が違えばほとんど接触は無い。朝の打ち合わせや廊下ですれ違う時くらいだ。
どうしてあやと俺は同じ教科なんだろう。


実習中のあやは・・・やはり魅力的だった。緊張しながら生徒の前で授業をして、生徒の質問に優しく答えたり、一緒に考えたり、分からない時は首を傾げて少しおどけて見せ、俺に助けを求める。男子生徒にからかわれて頬を赤く染めるが、急に真面目な顔になって生徒たちを窘める。
生き生きとした表情豊かな顔。知らない表情も、懐かしい表情もつい微笑ましく見てしまう。

休み時間やちょっとした移動の時間など世間話としてお互いのことについて少し会話をした。主に現在のお互いのパートナーについて。俺の妻は不死川の妹だと言ったら、驚いていた。あやは最近彼氏ができたと言っていた。俺とは正反対のマメで穏やかな人らしい。

数日たつとお互いの緊張感が取れ、丁度良い距離感を保ちながら接することができるようになっていた。当たり障りのない雑談をする。お互いのパートナーの自慢や休日のデートなどを話題として盛り上がったこともあった。
お互い、もう何の気持ちもありませんという態度をきっとわざと演じていた。自分の為にも、周りで俺たちの動きを気にしている同僚たちの為にも。

3週間この変な茶番を演じ続ければ元の生活に戻れる。平穏で退屈だけど誰も傷付かない毎日に。


他の教育実習生がそうしている様に、指導教官と実習生はメッセージアプリを登録し合った。質問や指導の予定、急な連絡を送り合う。強制ではないが、しない理由も無いので登録した。初日に「よろしくお願いします。」とお互い送り合っただけだった。

実習が始まって、二週目も終わろうとしていた。いつもの様に放課後生徒が下校すると、2人で社会科準備室に行き、今日の授業の反省や指導案と報告書のチェックを行う。
簡単に次の日の打ち合わせをすると一日の業務は終了だ。


チラと時計を確認すると八時に近付いていた。

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