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桃紅柳緑【鬼滅の刃】【R18短編集】  

第11章 ※炎炎 【煉獄杏寿郎】 1


あやが、他の教育実習生と一緒に校内の施設案内に出かけると直ぐに不死川が来た。
怒っているとも、悲しんでいるとも分からない表情だった。

「煉獄、お前、感動の再会の割にはやけに落ち着いてんな。今日あやに初めて会ったわけじゃねぇな?」

「あぁ、二ケ月程前に電車でばったり会った。」

「寿美は知ってんのか?」

「・・・・どうして彼女に言う必要がある?あやは俺が結婚していることを知っている。」

「・・・・・知ってるからって何だ?」

「君こそ何だ?何が言いたい?」

「・・・お前があやを捜していたのも、お前らが前世で想い合っていたのも知っている。・・・・このタイミングで出会ったことは誰も悪くねぇのも分かってるが、前世は前世。もう終わっている。今は今だ。お前はもう結婚しているんだからな。寿美を泣かせる真似だけはするんじゃねぇぞ。」

「あぁ、勿論だ。」


不死川は数秒俺の顔をじっと見て、自分の席に戻った。この一連の流れを席が近い宇髄も冨岡も伊黒も黙って聞いていた。そして皆一呼吸おいて溜息をつきながらそれぞれの教室に向かった。


職員室であやは俺の隣の席になった。
あやは実習の記録や指導案などの作業のほとんどを職員室で行った。時折、宇髄や伊黒などの懐かしい顔と談笑する姿も見られた。
21歳の今の彼女の笑顔は、前世で最後に会った19歳の時とほとんど変わらない笑顔だった。その笑顔を見るたびに鼻の奥がツンと痛くなった。


社会科準備室で仕事をしなければならない時はお互い時間をずらした。あやが職員室にいるなら、俺は準備室。そしてその逆。
特にそう申し合わせたわけではないが、お互いの保身の為にもそうした。
仕方なく2人で社会科準備室で実習に必要な作業をする時は必ず中が見える様にドアを開けておいた。今思えば、・・・ドアを開けていることが理性を保つためには重要だった。

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