第1章 first contact ...
「ソレ、今度、お店に持っておいでよ」
「お店?」
「そう。ちゃんの働いてるパン屋さんに」
「えっ?」
「今度、僕 買いに行くからさー」
「え?お店って……私、言いましたっけ?」
「ははっ、解るよ。ちゃんと辿り着く」
……どう言う意味?まさか、実はストーカーだったとか!?
「じゃあね、今度、パンご馳走してよ」
せっかく分けて貰った2枚の伝票を持って立ち去ろうとする五条さんに
「あの、それ私のっ!」
「いいの、いいの。ゆっくり食べてー」
ひらひらと手を振って出て行く、五条さん。
だけど、ピタッと足を止め、振り向きざまに私の肩をポンっと叩いた、瞬間
ふっ
と肩が軽くなるのが、解った。
「ちゃんは人が良すぎるなぁー。だから直ぐ、呼んじゃうんだね」
「それどう言う意味……」
私の言葉が途中で止まった。
目隠しを片側だけずり上げた五条さんの眼が……
碧い……
って、息を飲む程のハンサムじゃないっ!?
「また、ね。ちゃん」
今度は振り返らずに、会計を済ませ あっさりと出て行った。