第1章 first contact ...
なんって思ったのに……
いつの間にか、私の恋愛相談が始まっていた……
「へぇ~長続きしないんだぁ~~可愛い顔してるのにねぇ」
可愛い顔って……
「見えてないでしょ?」
「え~見えてる、見えてるよ。ほんと、ほんとっ」
……なんで私、初めて会った変な人にこんなこと話してんだろ……
私って よっぽど寂しいヤツに見えてるのかな?そんなことをぼんやり考えていたら、五条さんの雰囲気が突然変わり……
さっきまで騒がしかった店内が……何故か静かになったように感じた。
「ちゃんさぁー」
……さっき名前を教えたら、もう“ちゃん”で呼ぶんだ……
「……はい?」
「いま、人形持ってる?」
「えっ?人形、ですか?」
「うーーーん、違うなぁ……あっ、ぬいぐるみだね!ぬいぐるみっ!」
「まぁ、一応女子なんで、家にはありますよ」
「その中に、ずっと大事に持ってる物あるでしょ?」
「いくつか、ある、かな」
「違うな。1つだね、1つ。茶色の……猿?うーん俺の手ぐらいの大きさだね」
五条さんの大きな手のひらが、私の目の前に ずいっ と差し出された。
「あぁ!いますよ。クマですけどね」
「それ、どーやってちゃんところまで来た?」
「どーやって、って……普通に、買って……
あ、違う!中学生の時に、UFOキャッチャーでとったヤツだ!」
「へぇ」
「なんか、どぉぉぉっしても欲しくて、お金結構使った気がするなぁ」
「そうなんだぁーそれだね。呼んでるわ」
「は?」
呼んでる?何を?そう聞き返そうと思ったのに
「おっと、そろそろ時間だなー」
五条さんが、パッと席を立った。