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不確かな idea 〖 呪術廻戦 〗

第8章 living for love 【七海建人】前編


「細いのに、けっこう食べるんですね」

「そうですか?食べれるときに食べておかないと」

ビールのジョッキをグイと煽りながら、七海さんが答えた。


「前はカスクートしか買っていなかったから、少食なのかと思っていました」

「あぁ、あの時は会社勤めでして。少し満たされれば充分でしたね」

「でもあの時より、イキイキしてる感じがしますよ」


「……」


私の言葉に黙り込む七海さん。

余計な事、言っちゃったかな

思わず私も黙り込んでしまった。


「イキイキか……そんな風に考えた事、なかったですね」

「ごめんなさい!余計な事、言ってしまって」

頭を下げると

「いえ、そう言って頂けると、やはり私にはこの職業がまだ合っていた、と言う事ですね」

少し口角を上げ、またビールをグイと飲んだ。

「あの時、やっぱり疲れていました?」

数年前にお店に通っていた頃を思い出して 聞いてみた。

「そうですね。ウンザリしていましたね。自身の状況も仕事も……ですが、」

「?」

「貴女の言葉に救われたんですよ。今の仕事に戻ったキッカケになりました」

「私の言葉……ですか?」

「えぇ」

熱々のハンバーグを口に運びながら、頷く七海さん。

「このハンバーグ、けっこうイケますね」

「ふふ。七海さん、美味しそうに食べますね。意外」

「意外、ですか?」

「だって前は、どこで買っても同じみたいな言い方してましたよ」

「まぁ、当時はかなり疲れていましたからね」

「お金がどーのこーの、言ってました」

「あの時は失礼な事を、すいません」

ペコリと頭を下げてくる七海さんに、

「いやっ!そんなつもりは!!!」

焦ってアタフタする私を見て、七海さんが声をあげて笑った。



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