第7章 Femme fatale 【五条悟】後日譚
「顔もだけど、腕もキレイになったね」
渋谷事変で大怪我を負った真希には、全身にアザが残っていた。
まぁ、その後の禪院家の件も……
今日、五条先生のお宅にお邪魔したのは、単純に双子に会いたかったのもあるけど
真希に出来たアザの治療が一番の目的だった。
本人は全く気になんてしてないって言ってたけど。やっぱり“女の子”なんだからさ。
「あぁ。それなんだけど、以前は見た目しか治らなかったんだ。さんの反転術式は」
「うん」
「今は見た目だけじゃねーよ。本当に治ってる」
「えっ!?」
「ただ本人に聞いたら、深いキズやケガは治せないけど表面に近いキズなら治せるようになった、ってさ」
「それって、」
「まぁ、あのバカのせいだろうな」
ニヤリと笑う真希。
「あと、さんにも言われたわ」
「何を?」
「私の中の真依の事」
「……そっか」
僕は少し複雑な顔をしてしまった。だけど、真希は僕の手を力強く握りしめると、ニカッと大好きな笑顔で笑った。
「穏やかな顔してるって、1つになれた事を喜んでるみたいだ、って」
うん。間違いなく大好きないつもの笑顔だ。
笑顔なんだ。
だけど
その顔からは大粒の涙がボロボロと溢れ落ちだした。
「バカもお前も、真依が居るだけしか言わねーから、解んなかったんだよ。真依がどんな風に思ってるのかなんて」
「うん。ごめん。僕たちじゃ、そこまで読めなかったんだ。さんだからだよ」
「違っ……いいんだ、もう居ない人間のことを……悪い……」
繋いでいた手を離して涙を拭おうとした真希を、僕は
ギュッと抱き締めた。