第6章 Femme fatale 【五条悟】後編
あの日の約束を忘れないーーーーー
そうだ俺はあの時、本当に心の底からホッとしたんだ。言質をとったあの縛りを。
そうだな子供は男の子がいい。困難も乗り越えて行きやすいだろう。見た目はに似ていてるといいな。きっと愛らしい。
そして俺の親友の話をしよう。きっとここから出る時には、今よりももっと多くの話が出来るはずだ。
そして俺は
獄門彊に閉じ込められ、暫くしてから指をパチンと鳴らし、あの縛りを有効にしたーーーーー
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今、出産の現場に立ち会えているのは、あの日の約束を有効にしたからだ、と心から言える。
ただ想定外だったのは、が双子を妊娠していた事だった。
多胎の出産は帝王切開で行われるのがほとんどらしいんだけど、はどうしても普通分娩を希望したらしく、それを硝子が受け入れてくれたのだ。
まぁ、リスクを考えると硝子に診てもらうと言うのはベストな選択だったと思う。
そんなことを考えていたら
「よし!男の子っ!先に出たよ」
硝子の大きな声が聞こえ、そのすぐ後に小さいけど生命力の溢れる声が聞こえてきた。
「陣痛の波が、しっかりあるうちに二人目も行くよ」
「は、はいっ!」
産まれてすぐの子は、真希が身体を拭ってくれている。
出産は、流石に硝子一人じゃ手におえないからね。
「あんたでも、そんな顔するんだな」
真希が僕の顔を見ながら、ニヤリと笑って言った。
あーーー、どんな顔してんだろ。
すると今度は硝子が
「大丈夫だ。次の子も、元気に産まれてくる」
そうか、不安そうな顔をしていたんだな。
と、その時初めてわかったんだ。