第6章 Femme fatale 【五条悟】後編
「でね僕が捕まったとき傑がね、僕の言葉に反応してね。あーやっぱ、僕の親友はずっと親友のままなんだ、って思ってさー」
「あ、あの……その話……また今度でも、、、」
「そぉ?気が紛れるかなぁー、って思ったんだけど?」
僕の言葉に硝子が呆れたような視線を送ってくる。
だけどは僕に
「紛れる、、、と言うより、、、」
握った手に力を込めて叫ぶように言った。
「笑いながら泣きそうな顔をしてるのに……今は抱きしめれない、、、からっっっ!!!」
「そう!いま!いきんで!!!」
硝子の声がの足元から聞こえた。
「んーーーーーっ!!!!」
「上手い、上手い!頭、見えてきたよ!」
「は、はい……」
そう。今、僕はの希望した通り『立ち会い出産』の真っ只中だ。
色んな事情があって出産を高専で、そして硝子の手を借りて行っている。
硝子も最初は「専門外だ」なんて言ってたけど、いつもは見送る事の多い仕事が、新しい生命の誕生に関わることなんて滅多にない!なんて気持ちを切り替えてやってくれている。
それに僕としても自然分娩を望んだに万が一の事があった場合、硝子の反転術式は役に立つと思ったからね。
「波が収まってる。少し休憩」
「あ……」
顔を真っ赤にしたが僕の顔をチラリと見て言った。
「おかえりなさい」
僕は一瞬言葉が詰まりそうになったけど、笑顔で
「ただいま」
一言だけ言った。
そんな僕を見て、は何か言いたげだったんだけど
「あーーー、きたっ……硝子さんっ!」
どうやらすぐに次の波が来たみたいで
「よし、一気に行くよ!」
珍しく硝子の大きな声が響いた。