第6章 Femme fatale 【五条悟】後編
「本当にいいの?僕で?」
自信に満ち溢れた顔で聞く五条さんは、私がノーと言わない事を解っている。
「はい。五条さんがいいんです。ずっと一緒に居たいです」
五条さんの手を握り、クマ吉の上に置いた。
もう静電気も何も起こらない。きっと二人も認めてくれたんだ。
「ま、もう逃がさないけどね」
キラキラと吸い込まれそうなほどキレイな瞳の五条さんの顔が近づいてくる。いや、キレイなのは瞳だけじゃないんだけど……
「目、閉じないの?」
「え!?」
あ、そ、そうか思わず見惚れてた……
「ま、僕はどっちでもいいんだけど」
私が目を閉じてすぐ
唇が重なった
でもその唇はすぐに離れ、今度はギュッと力強く抱き締められた。
「あーーー、やっと触れられた。これでもかなり我慢してたんだ」
私もギュッと抱き締め返す。
五条さんの長い腕に抱き締められ、固い胸板に顔を埋める。
な、なんか……鍛えてるのかな?
ものすごく固くない?
確かめるように頬でスリスリしていると
「ちょ、ちょっと!何?何?」
焦ったような声が頭の上から聞こえた
「いや、何か固いから……確かめてました」
言った瞬間、その長い腕で両肩を掴まれ グイッっと引き離された。
「……ごめん。これ以上は無理。我慢の限界。帰る。アイツらに何言われるか、わかんない」
さっと目隠しをする五条さん。
「え?」
「僕も一応、男だからね。また明日、来るよ」
これ以上って……
もしかして、誘ってると思われたのっ!?
私は赤くなった顔を下に向け
「明日、待ってます」
そう答えるのが精一杯だった、