第6章 Femme fatale 【五条悟】後編
「ヤバい世界は普通の世界の中に在るからこそ、成り立っているんだ」
突然、真剣な声色になった。
「五条家は間違いなく、ヤバい家だ。だけど子供はもちろん、君の事も 必ず僕が守る」
……
「私、よく分からないですけど、普通の人間ですよ。まぁ、ちょっと特殊みたいだけど」
「ははっ!それがいいんだ。君は家族の愛情に守られてきた。それを当たり前に受け止める君は、愛情の塊なんだ。僕はそれが欲しかったし、子供にも与えたいんだ」
その言葉を聞いて確信した。きっと複雑な事情が五条家にはあるんだろうなぁ
小さな子供の頃の五条さんを想像して、少し寂しそうな顔をしたのかも知れない。
「優しくて、明るくて、そうやって情に厚い君が……が好きだよ」
五条さんの手が、私の頬を撫で……
バリバリバリッッッッ!!!!
今まで聞いたことのないような音が、私の部屋に響いた。
びっくりして目を丸くする私の前に、苦笑いする五条さんがいる。
「くーーーーっ、キタね今のは。今までの分だ、きっと」
「あああっ!私、クマ吉にお願いしてない!!!」
「大丈夫。きっと今ので解呪成功だ。ははっ、君の持ってる力もやっとはっきり見えた」
私の力……?
「ちゃんのひぃおじぃちゃん、なかなかやるねぇ~ホントに非術師だったの?」
「そう聞いてますけど……」
「ま、いっか。それより、ふぅーーーん凄いな。これを抑え込めてたなんて」
な、なんなの!?私には全くわからないんだけど……
「聞きたい?」
そう言って私の顔を覗き込んでくる五条さんに
「いえ……必要ですか?」
「ま、僕と一緒に居る分には、全く必要ない」
「そっかぁ……じゃあいいです。聞きません。私は今まで通りでいます」
「うん。それでいい。それより……」