第6章 Femme fatale 【五条悟】後編
「ねー焼き菓子って、どんなの?」
五条さんが小首を傾げて聞いてきた。
なんでこの人は こんな可愛いポーズをサラッとやっちゃうの!?なんてドキドキしていたら
「テメーは知らなくていいんだよっ!散々今まで食ってきたんだろーが!」
真希ちゃんが先生相手とは思えない口のききかたをする。おまけに
「アンタも最初にちゃんと躾ないと、痛い目みるよ。甘い顔すると、こいつすぐに付け上がるからな」
「は、はいっ!」
私にも手厳しい!でも、不思議と嫌じゃない。
私も皆の仲間に入ったような気分。
まぁ、後に禅院家や他の皆の事も知るんだけど、それは別の話。
それよりも、私が思っていた以上に五条さんの存在はこの世界では重要らしい事だ。
五条さんは自分だけの力で治める事が出来ても仕方がないこと、そして信頼出来る仲間を育て増やすことに力を注いでいる。
そんなことを聞いてしまったら、、、
私も後戻り出来ない状況にまで、そろそろ追い込まれてきた気がする。
信頼出来る仲間に会わせ、高専の生徒達にも私を会わせること
そんなの気軽に出来るハズがない
五条さんは何気ない言葉ふざけた態度で場を和ませながら、全てを考え見越している
この子達が、私をすんなり受け入れた時点でもう
私はきっとこの流れに逆らえないし、逆らっちゃいけない。
なら、私のする事は1つ……
「じゃ僕、ちゃん送ってから帰るからー」
「送り狼になんなよー、悟」
パンダ君の言葉に皆が笑う。
「いやいや、なってもいいでしょ!?ねぇ?」
五条さんが私の顔を覗き込んだ。
「いや、それはちょっと……」
今度は私の言葉で皆が大笑いした。
「でも、お話はあります。先生を少し借りるね?」
すると、どーぞどーぞ!返品不可ですよー!良かったな、先生!いや、悪い話なんじゃねぇの?
色んな声が飛び交う中、私達は家路に着いた。