第4章 Femme fatale 【五条悟】前編
へなへなへな~~~と、腰が抜けて行くのがわかった。
「おっと」
五条さんがとっさに支えてくれなきゃ、今頃地面に座ってる。
「大丈夫ー?」
「だ、大丈夫なわけ……ど、同僚が……」
声まで震えてる。なのに
「だから大丈夫だよ。ほら、彼女なら向こうで働いている」
「……え?」
腰を支えられたまま向かされた先には、店内でレジを打つ同僚の姿が見えた。
「あれ?」
「今の、説明いる?」
……私、さっきめっちゃ走ったと思ったのに、こんなに店の近くにいたの?おまけに、さっきまで私の傍に居た同僚は……そう言えば、遅番で今日は店の閉店時間まで働く予定だった事を思い出した。
「おおぉーーーい、ちゃーーーん!聞いてるー?」
五条さんが私の顔の前で、大きな手を振っている。
「ア、は、ハイっ」
びっくりして、変な声が出ちゃった。けど
「ここじゃ何だから、場所 変えようか?」
「は、はぁ……」
「どこか近くのお店にでも」「あ、あのっ」
五条さんの言葉を遮った。
「ん?どうした?」
「こ、腰が抜けて歩けない、、、です」
「あぁ!」
五条さんが私の腰を掴んでいた手を、パッと離すと
私の足腰はフニャフニャで、そのまま地面に座りそうになった瞬間
「本当だね、久しぶりに見たよー、腰が抜ける人!」
「は、は、ははは……」
見る?見かけるか!?そんなの!?だいたい腰が抜けるなんて初めてなのにっっっ!!!で、でもこのままじゃあ
「申し訳ないんですけど、そこまで送って貰えませんか?」
「え?いいの?家まで行って!もーう、ちゃん大胆なんだからぁーーー」
「いやそんな事、言える状況じゃあ、、、
ないですよ、ね?」
だって私よくよく見たら、ベトベトの紫の液体、全身に浴びてる……