第3章 it was fate
「ちゃんに説明、する?」
「必要ありますか?」
「うーーーん、まぁこのままなら“特に要らない”かな?きっとあのクマは、自分の眼鏡に適う男なら認めるだろうからね」
「そんな男がいれば、ですけどね」
「ま、そーゆーこと」
僕はさっき、僕の為に包んでくれた試作のパンを袋から出し、大きな口を開けて食べた。
「高専に着くまで待てないんですか?」
呆れたような七海の声。
「旨いよ?これ。僕の事を想って作ってくれたんだ」
「パンケーキでしょう?」
「一緒さ。そのパンケーキも僕と一緒に食べたんだからね」
「……」
「お前もそのカスクート食べれば?」
「仕事が終われば頂きますよ。私は後1時間で今日の仕事は終了ですから」
相変わらず頭の固い七海に
「早く食べた者勝ちだ」
俺は七海のカスクートを奪うと、パッと食べた。
まぁ、さすがに一口で、って訳にはいかなかったんだけど。
それでも今度こそは 怒るかと思ったら、
「貴方が買った物ですからね。貴方のご自由に」
どこまでも素直じゃない。
「お前、ほんっと可愛くない後輩だよなぁーーー」
「ありがとうございます」
「は?褒めてないんだけど?」
「可愛いなんて言われる方が、気色が悪い」
……たしかに
だけど
「可愛いよね、ちゃんは。元気いっぱいって感じで」
「……」
これには返事がない。
「少し焦ってる」
「は?」
だけどこの発言には、反応を示した。
「あまり僕自身がゆっくり出来ない、からね」
「……」
「悠仁が来て状況がかなり変わった。それは、お前もだろう?」
「私は、」