第3章 it was fate
「どう言う事ですか?」
高専へ帰る道すがら、七海が尋ねてきた。
「こないださ~、たまたま仕事でこっちに来たとき、見つけちゃったんだよね~」
「彼女を、ですか?」
「ううん。お前の残穢」
「……」
「普通あそこまで残らない。と、言うことは“わざと”だ」
「……」
返事をしない七海に、僕は畳み掛けるように話し出す。
「そしたらさー、お前の残穢がくっきりあるにもかかわらず、たくさんの低級呪霊がずーーーっとあの子を追いかけてるんだよ。
普通なら、見るのもイヤがるレベルの残穢があるにもかかわらず、ね」
「それで気になったんですか?」
「ま、なるよね?普通。そしたら、見ただろう今日の」
「えぇ。触らせて頂けませんでしたが。怒ってましたね、かなり」
「あぁ。びっくりだよね」
「あれは呪骸、でしょうか?」
「少し違うなぁーでも、あんなにハッキリしてるのに、解んないんだよね、あのこは」
「珍しいですね、貴方がそこまで女性に興味を持つのは」
「お前もだろう?」
歩みを止めて、七海の顔をわざと下から覗きこんだ。
「いえ、私には、」
「私には関係ない、なんて言うなよ?」
七海の言葉を遮って、得意のセリフを僕が吐くと、明らかに不機嫌な顔をする、七海。
いいよ。お前ももっと素直になった方がいい。
胸の内をさらけ出せ。
なのに、また胸の内を隠すように話し出す七海。
「三大呪霊の一つでしたね」
「あぁ。末裔だけど、かなり血筋は濃い感じだったなぁ」
「はい」