第2章 bump into him
「これ、先日のパンケーキをイメージして作ってみたんです。試作だから、良かったらまた感想教えて下さい」
フワフワのパン生地に、少し甘めのクリームと酸味のあるフルーツを乗せたパンを数個、袋に詰めて五条さんに手渡した。
「へぇー本当に君は勉強熱心だ。ありがたく頂くよ」
ニヤリと口角を上げて笑う五条さん。
あーあ。せっかくだから、あの男前を、拝みたかったのになぁー、なんて思っていると
「で、今日は持ってるの?ぬいぐるみ」
「あ!はい連れて来てますよ!最近、いつも一緒なんです」
「見せてくれる?」
「はい!連れて来ますね。少し待ってて下さい」
同僚にロッカールームに行く事を伝えると
「五条さん。急いでいるんですよ?」
「まぁまぁ、少しだけだから、ねっ。この貰ったパンも1つあげ……いや、こっちね。こっち。七海にはお金出して買ったヤツ上げるわ」
「……」
「急いでるなら、また今度にでも……」
そう言えば急いでるって言ってたなぁと思い、行くのを止めようかと思ったら、五条さんが
パンっ!!!と一度大きく手を叩き
「ダメ。今すぐ!はい!ダッシューーー」
なんて言ってくるので、思わず
「はいっっっ!!!」
私も大きな声で返事をして、クマ吉を取りに行った。
その時チラリと見た七海さんは、、呆れてそっぽを向いてる感じだったのに……
私がクマ吉を連れて戻る頃には、腕を組んでこちらを睨み付けるように見ていた……