第2章 bump into him
「他に美味しいお店が見つかったんですか?」
「え?」
「それとも、またコンビニで買ってるんですか?」
「いえ……」
「あれから一度も来られないから、どうしたのかな、って……お礼もちゃんと言えてなかったし……」
「いえ、礼なら、きちんと伝わっています」
カスクートさんと話していると
「ねぇ、ねぇ七海~僕にも解るように説明してよ~」
「特に説明のいる関係ではないので」
甘えたように聞く五条さんに、ピシャリと答えるカスクートさん。
「あ、スーツが違う!それに、サングラス?もかけて、もしかして転職されたんですか?」
「えぇ。まぁ」
「それでこのお店に来なくなったんですね。そうかーいつも疲れたお顔されてましたもんねぇ」
「……」
「あっ!ごめんなさいっっっ!」
「いえ」
私の失礼過ぎる発言にも、無表情のカスクートさん。
そしてまた、肩を震わせている五条さん。
「それより、早く戻って下さい。皆が探していましたよ。私にまで連絡が来る程に」
「まぁ、少し待ってよ、カスクートさん。僕、まだ何も買ってないんだからさ」
「私の名前はカスクートではありません。」
少し怒った雰囲気のカスクートさんに、やはりヘラヘラした態度を変えない五条さん。
「ちゃん、コイツはね“七海”って言うんだ」
「七海さんですね!はい、覚えました!ごめんなさい。お名前が解らなくて、勝手にカスクートさんって付けちゃって」
「……」
ペコリと頭を下げても、やっぱり無表情の七海さん。
カスクートさんなんて呼んでたの、怒ったのかな?