第12章 困惑
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「おやまぁ。」
「うぅ…綾部先輩何するんですか!!」
「伝七が引っかかるなんて珍しいね」
「ランニング中だったんです!!」
と、裏庭で喜八郎が掘った落とし穴に1年い組の黒門伝七と任暁左吉が引っかかってしまいそれを眺めている喜八郎がいた。
「あ、いたいた!喜八郎!」
「ん?おやおや、守一郎にタカ丸さん。どうしたんですか?」
「ちょっと聞きたいことがあって…。まずは…」
1年生の2人を助けた3人は、そのまま裏庭の木の根元で話をすることにした。
「んで?聞きたいことって?」
「…喜八郎、最近若月と一緒にいること多いけど何か理由でもあるのかい?」
「…別に。僕の興味本位でいるだけ」
「…本当にそうなのか?…俺、あの日聞いちゃったんだよ。用具委員会と作法委員会の共同任務の時に」
と、守一郎がいつもよりも落ち着いた声で喜八郎に問いかけた。そこまで聞いた瞬間、木の根元に寝転がっていたタカ丸が立ち上がった。
「…俺、ちょっと用事を思い出したから行くね」
と、ついてきたのに明らかに不自然な形で立ち去っていくタカ丸に喜八郎だけは違和感を覚えた。だが、守一郎はそれを良しとし話をつづけた。
「…喜八郎。若月って、本当に女なのか!?」
「…そうだね。あいつは女の子だよ」
「やっぱり…そうなのか…」
と、深刻そうな顔をしてる守一郎に喜八郎はどうやって声をかけていいか悩んでいた。だが、守一郎からは思いもよらない返答が返ってきた。
「若月って、すげぇんだな!!!」
と、あまりに予想外過ぎて喜八郎は思わずひっくり返った。