第12章 困惑
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ところ変わって、ここは4年生の部屋。
本日彼は、これまたキリ丸とアルバイトに行ってしまっているため不在。
4年生の忍たま長屋の廊下を守一郎が何やら真面目な顔をして歩いていく。守一郎がやってきたのは、4年1組の2人の部屋だ。
「ちょっといいか?」
「おっ?守一郎、どうしたんだ?」
部屋に入ると中には滝夜叉丸だけがいた。
守一郎が何をしているのかと尋ねると、見てわからんか…?とうぬぼれながら手鏡を持っていた。
「私は、私の美しさに酔いしれていたのだ!!今日も今日とて私は美しい!!そんな私を私は花のように愛でているのだ!!愛でることによって尚の事美しく…!!」
「あぁ、喜八郎いないならいいや。邪魔したな」
と、話が長くなることは容易に予想が付いた守一郎はピシャリと襖を閉めて別に部屋に行った。
隣の部屋に行くと、今度はタカ丸がいた。
「タカ丸さん、喜八郎を知らないですか?」
「ん?知らないよ」
「そうですか…。お邪魔しました。」
「あ、守一郎!喜八郎を探してるなら僕も行くよ」
と、髪結いの練習をしていた鋏を置いて守一郎について部屋を出た。部屋にいないと分かると、今度は2人は校庭に出た。
きっと穴掘りを・・・
ドシン!!という大きな音とウワーーーーー!!!と遠くで叫び声が聞こえた。きっとあっちだ・・・と2人は納得して裏庭の方へ向かった。