第12章 困惑
「…で。奴の弱点は?」
彼らの中で最も冷静な中在家長治が6年生達に告げた。
部屋の中に沈黙が流れて、立花仙蔵が答えた。
「…喜八郎に、弱点を聞いたが答えてくれなかった。」
「喜八郎も、そこまでは知らないのか?」
「いや、おそらく知ってるだろう。ヤツを思ってのせいなのか…それだけは頑なに教えてもらえなかった。多分この情報量の多さは、その弱点を教えないための引き換えだろうな」
と、由利の情報が乗っている紙を床に置き途方に暮れてしまっていた。再び6年生達に沈黙が走った。
「ねぇ、こんなこと言いたくはないんだけど…。もう彼の事監視する必要なんじゃないかな。」
と、善法寺伊作が沈黙を破ってそんな事を言い始めた。
その言葉に、6年生達はまた悩み始めた。
仮にも暗殺者が、こんなに情報を敵に提供するとは思えないし先日の共同任務の時の行動も6年生達には伝わっているから余計にそういう気持ちにさせているのだ。
「…いや、監視は続ける。」
と、彼の言葉を否定したのは潮江文次郎だった。
ここまでの情報があるとはいえ、それで彼が暗殺者であるという事実は変わらない。という理由からだった。
「…そうだな。情報は多いに越したことはない。コレを好機と思い監視は続ける。」
「…モソ」
「伊作、こればかりは妥協するわけにはいかない。油断するな」
と、善法寺は他の6年生達に説得され結局情報をもとに今後も監視を続けていきながら今度は彼の暗殺の理由を探っていこうということになった。